3D プリンターの設定あれこれ

Posted on Apr 30, 2019


3D プリンターの設定あれこれ

3D プリンターを購入してから1ヶ月ちょっと経ちました。

最初は、PLA をメインで使っていたんですが、最近は PETG をメインで使っています。ポリ乳酸(PolyLactic Acid)、とか、いかにも熱とか水に弱そうって感じで、PLA はあんあり使いたくないな、ってのが理由。PETG はまだまだフィラメントの種類が少なかったり、基本透明だからどうしても光沢が出ちゃったり、とか課題はありますけれど。

で、PETG ですが、PLA に比べて印刷が難しい。PLA だと、適当な設定でもそれなりの品質で印刷できてたんですが、PETG だと全然うまくいかない。表面にダマができたり、ノズルがフィラメントまみれになって印刷物が汚れたり。

印刷がうまくいかない時って、まずは、フィラメントを射出するノズルの温度(糸引き、フィラメント同士の接着力なんかに影響するイメージ)とか、ベッドの温度(ベッドと印刷物の接着力に影響する感じ)とか、印刷速度とかをいじるんですが、それ以外にも重要なパラメータがたくさん。

苦労したおかげで、そういうのが見えてきたので、ちょっとメモとして残しておきます。

1. 印刷ベッドのセッティング

当たり前なんですが、印刷ベッドのレベリングは非常に重要。

ノズルとベッドが離れているとうまく印刷物が固定されない、ってのはもちろんですが、ノズルとベッドが近すぎてもダメ。近すぎると、**フィラメントが射出しきれないため、ノズルが離れた地点へ移動するタイミングなんかに、一気にフィラメントが押し出され、ダマができたり、糸を引いたり。そのダマや糸が印刷物やノズルに堆積していって、印刷物の品質が大きく劣化。**PLA の時はそこまで問題にはならないんですが、PETG だと大体めんどくさいことになります。

私が使っているプリンター Ender-3 は、格安のプリンターなので、Z軸の自動補正、とかいった素敵な機能はありません。なので、印刷ベッドのセッティングはマニュアルでやらないといけない。だけど、印刷ベッドの設定方法に関しては、プリンター付属のマニュアルにも書かれてはいません(笑)

で、今私が使っている設定方法はこちら。ステッカーはないので、代わりにA4の紙をちぎってやってます。

ちなみにですが、このおじさんの Youtube チャネルは面白いので、Ender-3 を使ってるなら、オススメです。

あと、印刷台を支えるバネが4つありますが、それをもっと固いのに交換するのも良いかもです。Amazon とかで数百円で買えるので、ぜひ。

2. Retraction の罠 @ Cura

あと、糸引きやダマの対策として Retraction 関連のパラメータを調整するのが多分王道。

そもそも糸引きは、離れた二点間を、印刷せずに移動する際におきる。ノズルの中で今にも射出されようとしているフィラメントが垂れたり、印刷物に引っ張られて糸を引く。

例えば、こんな感じ。PLA印刷した時のやつですが、ネジ穴とネジ穴の間にいっぱい斜線が入ってますが、これらは糸引きとかフィラメント垂れのせい。

で、対策として、Retraction 機能を使う。離れた二点間を移動するときに、ちょっとフィラメントを戻して、垂れないようにする感じ。パラメータとしては、Retraction Distance (どんだけフィラメントを戻すか)、Retraction Speed(どれくらの速度で引き戻すか)なんかをいじることになり、私は、Retraction Distance 6 mm、Speed 25 mm/sec なんかで運用しています。

が、Cura だと、設定してもうまくいかない

実際の印刷をリアルタイムで眺めていると、時々 Retraction が機能していないことがわかりました。で、いろいろ調べた結果、Cura のとある設定パラメータが悪さをしていることがわかりました。それが、Combining

重要なので、もう一回言います。Combining

Ultimaker Cura travel setting

これ、「印刷物の外をノズルが移動すると、フィラメントが垂れたりして品質わるくなるよね?だから、印刷物の上を移動するようにしておいたよ!印刷物の上を移動するんだし、Retraction いらないよね? てか、Retraction 使う回数も減って最高じゃない?」って機能。つまり、ノズルが印刷物上を移動するときは、Retraction が OFF になります。バカなの?

おまけに、この機能はデフォルトで ON な上に、Basic 設定の中にはありません

PETG だと、この機能を OFF にするだけで品質、印刷の安定性が飛躍的に上がります。PLA でも、一層目のフィラメント誰が抑えられるので、見た目も良くなります。Cura お使いの方、この設定、チェックしてみてください。ぜひ。

3. Support の印刷 @ Cura

次に軽めの一個。

印刷物によっては、サポート印刷することがあると思いますが、サポート自体がうまく印刷できない、みたいなことあると思います。ありますよね?

その場合、サポートに Brim を追加する、って機能を使うと印刷の安定性が増します。

これもまた、Basic のパラメータにはないんですが、「Enable Support Brim」「Support Brim Width」といったパラメータとして提供されています。

簡単に試せますので、Cura をお使いの方、テストしてみてください。

4. 表面を綺麗にする @ Cura

最後に、Cura で提供されいる、面白い機能を。

Cura には Ironing という機能があります。これは、印刷中に上部に露出する部分に対して、印刷後に熱処理を加えて表面を平滑化する、という機能です。

PETG だとザラザラになってしまうんですが、PLAだと表面が綺麗になって、印刷痕みたいなのが消えます。

ま、詳細はこのおじさんの動画にあるので、こちらをどうぞ。

てな感じ。やっと、PETG が綺麗に安定して印刷できるようになったぜ。

以上。


comments powered by Disqus