ゼロからキーボード作ってみた
Posted on Nov 4, 2019
今年にはいってからハマってる自作キーボードですが、これまでは自作キーボードのキットを買ってきて組み立てる、ってのが基本でした。ですが、今回とうとう自分で回路図書くところから自作する、っていうことをやってしまいました。沼。で、今回は、その話。
Alice キーボード
今回作ったのは、オリジナルのキーボード配列、とかではなく、すでにあるキーボードのクローン。パクリ。Alice と呼ばれる、キーボードの真ん中の配列が一部、内側に12度ほど折れ曲がっている、エルゴノミクスなキーボード。このキーボード自体は、昨年あたりにグループバイなんかがやられていたそうですが、$500弱の高級キーボードらしいっす。正直よく知りません。私が沼に足突っ込む前なので。
なんで今回これを作ろうと思ったか?と言いますと、それは単純にこのキーボードがめっちゃかっこいいから。うちの会社の同僚には、「中二病キーボード」って言われたけど、全然間違ってないと思います。
実は、今回キーボードをゼロから作ってたタイミングで、Project Keyboard にて PCB 基板のグループバイが行われてたり、アクリルキーボードケースのグループバイなんかも実施されてたんで、それらを買ってしまえば終了、だったんですが、(1) 送料入れると結構いい値段すること、(2) できればBluetooth 対応させたいなぁ、なんて思いもあり、自分で作ることに。
回路図設計〜PCB発注
回路図の設計は、foostan 氏の『自作キーボード設計入門』『自作キーボード設計入門2』および Kosaka.lab の『KiCad Basics』を参考に作成。
で、実際に見様見真似で設計し、無事に設計図が完成。ProMicro の使えるピンが18ピン(?)くらいなので、全65キーをアサインするために、8ピン x 9ピン でマトリックスを作成。本物の Alice に比べて、いくつかキー配列のオプションを削って手抜きしてたりします。
次に、作った設計図を参考に、PCB の回路図を作成。実際は、この基盤設計と回路図設計を何往復もして修正を繰り返してます。あと、今回は、スイッチを固定するトッププレートも合わせて作成してます。この辺りの寸法は、ネットに転がってたケースの設計図とか PCB の設計図の DXF ファイルから、採寸して再現してます。なんだかんだで、この採寸が一番面倒だったかも。
で、作ったデータをみんな大好き Elecrow に投げて発注終了。回路図の設計開始〜発注までが1週間ほど、発注してから基盤が手元に届くまでがさらに1週間ほど。思い立ってから1ヶ月もたたないうちに手元に基盤が。早い。ま、中国、お隣の国ですしね。
ケース作成〜完成
基盤があれば、キーボードとして機能させられますが、ま、実際に使うとなるとケースが必要になります。
元の Alice はアルミのかっこいいケースですが、一個人がいきなりそれを作るのは、ハードルが高く、今回はアクリル板を使ったケースにしました。なお、アルミケースのSTLファイルが公開されてたりするので、そこから 3D プリントして作れなくはないのですが、うちのプリンターで印刷できるサイズじゃないし、DMM にお願いすると3万円とかするので、断念。
アクリルを使った Alice 用のキーボードケースのデータはいくつかネットで公開されてます。
アクリル板のカットについては、今回は業者に丸投げする、ってことで調べ、こういうところを参考にしました。
で、上に紹介したフルアクリルなケースをこういう業者にお願いして作ると、2万円くらいかかる勢い。ま、自分でカットできる Fab とかに行けばお安くできるのかもしれませんが。。。あと、スイッチを固定するプレートもアクリル(厚み 2 mm 以上)で作っちゃうと、キースイッチの爪(プレートの厚み 1.6 mm 以下でないといけない)がはまらない、という非常に細かい懸念点もあり、今回はトップとボトムだけアクリル、あとは3Dプリンターで印刷することに。
トップとボトムのアクリル加工は Emerge+ に発注。アクリルに挟まれた部分は、Ender-3 で左右二つに分割して印刷。で、最終的に、こんな感じになりました。トップをアクリルにしたことで、結構美しい感じの仕上がりに。満足。
最後にお値段
最近、オリジナルキーボード作ってる人多いですが、あまりコストの話は語られてない気がしますんで、おいくら万円かかったのか、ざっくりまとめておきます。個人用に作ろうと思ってる方の参考までに。
アイテム | 費用 |
---|---|
PCB 基盤(最小単位の5枚) | 10,000円(うち送料2,000円くらい) |
アクリル板&加工(A3サイズ) | 5,000円 |
3D印刷部分 (在庫のフィラメント利用) | 0 円 |
キースイッチ(Gateron Silent Brown x 70) | 3,000円 |
スタビライザー(2u x 6) | 1,000円 |
キーキャップ(GMK WoB) | 10,000 円 |
合計 | 30,000 円 |
ということで、3万円くらいかな。
PCB は最低でも5枚から製造、になるので、ちょっと割高になってしまいます。今回作ったキーボードが大きいため値段が高い、ってこともあるので、小さいキーボードとか、分離型で左右の基盤共通、とかなら、もう少し値段は下がると思います。ただ、なんだかんだでアクリル(特に加工)が高い。これは正直、予想外でした。なんかもっと安くてナイスなオプションがあればなぁ。
ということで、思い立ってから1ヶ月くらいでキーボード作ってしまいました。いまこのキーボードは職場で活用中。当初の予定通り、BLE Micro Pro 使って、無線接続してます。
すぐに次のキーボード作る!とか、そういう予定はないですが、簡単に PCB 基盤設計して発注できることがわかったのは、大きいですかね。キーボード以外にも、なんか電子工作するときに役立つ、かもしれません。
長くなってしまった。以上。
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