Netflix の No Rules Rules を読んで

Posted on Sep 29, 2020


転職してから、3 週間ほどたちました。初の外資で、想像以上にコミュニケーションが英語なため、最初の週は脳みそが溶けそうな勢いでしたが、2 週目ぐらいからインプットの量も減り、かなり安定してきました。

転職して変わったことの一つは、通勤。前職は WFH 多めでしたが、現職は(入ったばっかりなので、意図的に)オフィス多め。通勤時間もできたので、読書にもってこい。秋だし。

No Rules Rules

ということで、Netflix の CEO が書いた企業文化論、No Rules Rules を読んでました。9月頭くらいにやたらとメディアに CEO が露出してるな、って思いましたが、おそらく、この本のプロモーションでしょうね。

どうやら翻訳版もすぐ出るよう。とはいえ、日本企業でこれを真似できる会社はないでしょうけれど。

Business Casual の Podcast での対談で、「他の会社の企業文化を大いに参考にしている。その発展系のひとつとして、Netflix の企業文化を紹介する本を作った。他の会社に参考にしてほしい。」的なことを言いつつ、「この企業文化が Netflix の競争優位性の源泉」とも言ってて、?ってなってたんですが、読んでスッキリしました。

こんなの、そんなに簡単に真似できねーよ(笑)。

一応、他の企業が真似できるように、実装していく機能の順番に紹介はしてあるのですが、最初のステップが

優秀な人材だけ集めて、人材密度をあげよ(中途半端なプレーヤーには、多めの退職金を渡して辞めてもらう)。

とかで、すでにこの時点で、「ハイ終了!解散」って感じ。

とまぁ、細かい本の中身をブログに書く気はないのですが、いくつか印象に残ったところだけ、メモ的に書いてみます。

優秀な人材の密度をあげる

「優秀な人材の密度を上げてクリエイティブな仕事をしましょう!」ってことなんですが、要は、「ダメな奴がいるとチームのパフォーマンスが劇的に落ちるから、とっとと辞めてもらう」、という話。

MBA 的な流派で行くと、「パフォーマンスに応じて、優秀な順番(20:70:10くらいの比率)に ABC にランク分けし、B と C にはトレーニングを提供。それでもダメな C プレーヤーには辞めてもらう。」的な方法がベタかと思いますが、Netflix では、トレーニングにかかるコストもばかにならないので辞めてもらったほうがいい、ってことだそうです。ま、非常に合理的。 

なお、判断基準はこんな感じ。

Keeper test: if a person on your team were to quit tomorrow, would you try to change their mind or would you accept their resignation, perhaps with a little relief? If the latter, you should give them a serverance package now.

で、4 か月~ 9 か月分の給料を退職金としてお渡しして、去ってもらうようです。なお、本文中には、日本での事例もあったんですが、これ、辞めた人が訴えたりしたらどうなるのかな、ってちょっと思いました。

仕事を operational と creative に分ける

「社員にいくらの給料を払うべきか」、っていう議論の中で出てくる話なんですが、Netflix では、全部の仕事を Operational / Creative に分けて、後者には業界トップの給料を支払っているようです。前者に関しては、記述なし(笑)。

「いくら払うか」、みたいな議論自体は、特にフレッシュな話ではないんですが、「全部の仕事を Operational / Creative に分けて、待遇を変える」っていう議論はあまり聞いたことがなく、なかなか良いアイデアだな、と。

少し見方を変えると、Netflix がいる業界って、Creative な仕事をするかどうかが、収益・競争優位性に大きくつながってるから、こういう施策・待遇ができるんだろうな、と。例えば、素材メーカーなんかでいくら Creative な仕事をしたところで、それが会社の収益にどんだけつながるかっていうと、かなり微妙じゃない?っていう。

そんなこと考えつつ、「やっぱ、これは誰でも彼でも真似できる企業文化ではないな」と。儲かってて、かつ、Creative な仕事が活きる業界だからの話だな、と。

上司の同意は不要だし、失敗しても OK

creative なお仕事なので、上司の同意をとるような意思決定だと、新しいこともできない。だから、上司の同意は不要。正しいと思ったことをやる。失敗してもOK。だけど、事前に上司には内容を共有する。

ま、そんな感じで、Netflix は、権限を部下に与える仕組みを頑張ってつくったそう。権限を組織の下のほうに与える、っていう話自体は、Team of Teams の内容なんかとも非常に重なる部分も多く。

もち、そういう権限譲渡が必要なのは、Creative な仕事をしないといけないからで、やっぱ、その前提条件忘れちゃいけないなー、というのを再確認。


経費管理の話とか、ま、他にキャッチーな話もあるんですが、そういうのは、読んで確認してください(笑)。

エクストリームな事例ではあるけど、一つのマネジメントというか組織論の最新系であることには変わりなく。暇な人はぜひ買って読んでみてくださいまし。

なお、英語版ですが、おそらく 20 時間くらいで読み切れると思いますし、スキムすればもっと早く読めると思います。ご参考までに。


comments powered by Disqus